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知って納得!洗浄のメカニズム 汚れが落ちるしくみ
汚れを落とすのは、界面活性剤の作用です。石けんも合成洗剤も、主成分は界面活性剤です。
「界面」とは、2つの性質の異なる物質の境界面のことです。「界面活性剤」とは、水と
油のような本来混じり合わない性質のものを混じり合わせる作用を持った物質のことです。
水とよくなじむ部分(親水基)と油とよくなじむ部分(親油基)と両方持っており、
親油基が汚れにつき、親水基の作用で衣服などの汚れを水の中に引き離すのが、汚れを
落とすメカニズムです。
- 界面活性剤の働きで汚れに吸着・浸透していく
- 布から汚れが離れやすくなる
- 汚れを包み込んで布からはがれる
- すっかり布から離れて水と一緒に流される
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石けんの特徴-シンプルだからこその洗浄力-
石けんは天然の動・植物の油脂から得られる脂肪酸塩を主成分とし、その他の助剤を
加え製造されます。石けんの界面活性剤は、おもに「脂肪酸ナトリウム」と「脂肪酸カリ
ウム」の2つです。
石けんの助剤は、「炭酸塩」、「ケイ酸塩」で、水の軟化剤として、アルカリ性に傾ける
ためのPH*調整剤の働きをして、酸性の汚れへの吸着力を強め、洗浄力を増します。
石けんは脱脂能力も高く洗浄力がとても高いものですが、すすぎにより水で薄まると
界面活性作用を失うため、安全性が高い物質です。
*PH:ペーハーは、水素イオン濃度指数で0から14までの数値で表わされる。
酸性度またはアルカリ性度を計る尺度。
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合成洗剤の特徴-気になる自然や人体への影響-
合成洗剤とは洗浄成分に合成界面活性剤を使っている洗剤です。石けんと同じく、
粉・固形・液体状のものがあります。合成界面活性剤は、PHに関係なく作用し、すすぎ
等によって水で薄められても界面活性作用がなくなりません。乾いた衣類、食器などにも
残留します。特に、皮膚の弱い乳幼児にとっては大きな問題です。
また、環境中では分解しにくい成分が海底などにたまります。合成界面活性剤そのもの
が問題を含んでいるという認識が大切です。合成洗剤の界面活性剤以外の配合成分には、
大変多くの助剤と添加剤*があります(下記参照)。助剤は、それ自身は界面活性作用を
持ちませんが、洗剤に配合されると洗浄力を著しく増強する物質で、アルカリ緩衝、
硬度成分除去(水軟化)、重金属イオンの封鎖(キレート)、ミセル増強などがあり、1種類
の物質で複数の作用をあわせ持っていることもあります。
添加剤は、助剤のように洗浄力を増強するというよりは、洗剤の性能を向上させたり
製品の付加価値を高めるために蛍光剤や再汚染防止剤、漂白剤、酵素、香料などと配合
されます。
合成洗剤の場合は配合される助剤や添加剤の種類が大変多く、安全性や環境への影響、
生態系の破壊を招く恐れのあるものが多くあります。
*合成洗剤の助剤・添加剤・リン酸塩・アルミノケイ酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム酸素
添加剤、蛍光増白剤、行程剤、分散剤(汚れを洗濯液に分散させる)、消泡剤
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表示で見わけよう! 選び方が分からない…チェックポイントはココ
- 石けん
品質表示を探しましょう。
「品名」のところに「台所用石けん」とか「洗濯用石けん」と書いてあるものを選べばOK。
- 合成洗剤
「植物性」等が書かれていても、表示には石けん以外の洗剤は「合成洗剤」と表示しなければなりません。
よく見れば分かります。
*「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム」は、界面活性剤の種類として通常使用している略称「LAS」を用いて表示することができるようになっている。
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合成洗剤の人体への影響について
人体に対する影響
PRTRの報告書では法律の対象となる化学物質は、「人の健康を損なう恐れ(発がん性、
変異原性、感作性)または動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼす恐れ(生態毒性)が
あるもの」、また、「その物質自体が人の健康に損なう恐れがなくても、そのものが環境
中に排出された後で化学反応を起こし、容易に上記の有害な化学物質を生成するもの」と
書かれています。これらは環境中に存在すると考えられる量の違いによって、第一種
指定化学物質と第二種指定化学物質に区分されています。
日本でも化学物質管理の法律にもとづいた制度の中で、発がん性や生態毒性があるもの
と明文化されているリストの中に、これらの合成洗剤の主成分となっている合成界面
活性剤がはっきりと指定されています。それが日常消費される洗浄剤として製造販売が
許されていることは、国民の健康にとって大変重要なことです。
また、手荒れなどの皮膚障害は、合成界面活性剤の継続的な界面活性作用による強い
脱脂力が皮脂をはがしてしまうため起こるもので、厚生労働省にモニター病院の医師
から報告される皮膚障害件数でも、毎年上位をしめています。
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<パルシステム東京 いのちをつなぐ石けんノートより 監修:塩野圭子> |