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マイクロプラスチック海洋汚染について

 近年問題になっているのは、肉眼では極めて分かりにくい微細なプラスチックの粒、「マイクロプラスチック」です。 直径5ミリ以下~ミクロン単位の さらに微細なものも含まれる。こうしたプラスチック粒が大量に海を漂い、生態系や人体に影響しているのではと懸念されています。
特に日本海域は、1平方キロあたりのマイクロプラスチック量が全世界平均の30倍近くに上ることが環境省の調査で分かりました。
さかな
 一昨年には東京農工大の研究チームが東京湾のカタクチイワシの8割近くの内臓からマイクロプラスチックを検出したと報告しました。

 プラスチック製造工場からの樹脂ペレット(レジンペレット)の漏出やプラスチックごみが波の作用と紫外線により長い時間をかけて劣化した破片から毎年8000万トンのマイクロプラスチックになります。

 一方、一般家庭からの汚れや古い角質を取り除く目的で洗顔料や練り歯磨きなどに添加されているスクラブ剤は「マイクロビーズ」と呼ばれる0.001~0.1ミリ程度のプラスチック粒で、微細なため一部が下水処施設を通り抜けて海に流れ込み、東京湾のカタクチイワシから見つかったマイクロプラスチックの約1割はマイクロビーズだったと言われています。

 キッチンで使用するメラミン製スポンジもプラスチック、消しゴムのように汚れを落とし、使っているうちにボロボロと小さくなっていく。汚れのついた小さなスポンジのくずや、アクリル樹脂で作られたものは、下水道へ流れ、マイクロビーズの発生源となる。キッチンでは生分解性のセルロース製スポンジをお勧めします。

 さらに私たちが着ているフリースやポリエステル(合成)繊維も洗濯時に脱落し、洗濯機から下水道へ流れ、浄水場で処理しきれない雨水や排水と共に川や海にマイクロプラスチックを流し続けています。

 また、ポイ捨てされたタバコのフィルターもプラスチック、川や海に流れていきます。

さかな
 既に約2000種の海洋生物が・・・マイクロプラスチックを食べた動物プランクトンや小魚を大型魚が食べる食物連鎖で汚染が濃縮、拡散しています。

 米国は連邦法でマイクロビーズ入りの化粧品の生産禁止。今年7月には販売も原則禁止されました。

 英国やフランス、カナダなども販売、輸入を禁止予定です。

 汚染状況は推定5兆個が海洋中にあり、南極でも見つかっています。

 現段階では、マイクロプラスチックを海から取り除く手だてはなく、汚染の拡大を止める有効な手段はありません。

 しかし、こうしたマイクロプラスチックの問題は2015年のドイツでの先進国(G7)首脳会議(エルマウ・サミット)で取り上げられるなど世界的な課題として認識されつつあります。

 EUの欧州委員会は2018年5月ストローや皿など、使い捨てのプラスチック製品を2021年から使用を禁止する方針を発表しました。

 また、アメリカのシアトルではプラスチックストローが使用禁止。カリフォルニアでは、ビニールのレジ袋が禁止になり、サンフランシスコは、ペットボトルの飲料水の販売を禁止しました。

 最近、スターバックスではプラスチックストローを廃止する計画を発表しました。

  このように世界が少しづつ認識、動きはじめています。国際的には「何か問題があってからでは遅い」という予防原則の考え方ですでに対応が始まっているが、日本では法制化の動きはなく、産業界の自主規制に任されています。

 ドイツやスウェーデンなどで導入されるデポジット制度 「自然界で分解されないプラスチック製品にはリサイクルされる返却される預り金を上乗せし、(微生物により分解される)生分解性のプラスチックは安く流通させるなど、消費者の選択を促す取り組み」を日本ですぐにでも行うべきではないでしょうか。

 消費者として私たちはマイクロプラスチックを排出していることに気づき、無駄な物を買わない、使わない、ポイ捨てはしないことから、いますぐ始めましょう。

さかな
第21回東京とことん討論会報告書(一部参照)

<マイクロプラスチック海洋汚染について 村田 ま さ子>

2019/5/30 東京新聞掲載「海の声新聞」記事

  海は何も語らない。
だから、代わりに伝えようと思う。

いま、地球の海で多くの生物の命が奪われつづけている。原因はプラスチックだ。ビニール袋、プラスチックボトル、発泡スチロール…暮らしに身近なプラスチックが年間800万トンも川や海に捨てられ、ゴミとして漂う。プラごみを飲み込んだり体に絡ませたりして、ウミガメや海鳥、アザラシ、魚など約700種もの生き物が傷つき命を落としているのだ。

  やっかいなのは、一度海に流れ出したプラスチックごみは容易には分解されず数百年もの間、負の遺産として残り続けることだ。分解に必要な年数はプラスチックボトルで約400年。釣り糸なら約600年と途方もない年月だ。その過程でプラスチックごみは長い時間をかけ、太陽の紫外線や波しぶきで細かく砕かれる。5ミリ以下の微小な、「マイクロプラスチック」となれば、生き物の体内へ気づかぬうちに取り込まれてしまう。その結果がどんな影響をもたらすのかはまだ明らかになっていない。

 プラスチックごみは増加の一途をたどっている。このまま私たちが何の改善策も取らなければプラスチックごみの量は海にいる魚の量を上回るとさえ言われている。私たち日本人にも大きな責任がある。日本の一人当たりのプラスチックごみの発生量は世界第2位。この現実を止めるためにもいま海で起きていることにしっかりと目を向けなければならない。経済の成長や便利な生活を優先するあまり無視にしてきたものについて思いを馳せなければならない。ごみを出さないこと。再利用すること。声をあげること。考え続けること。やるべきことはわかっている。多くの恵みや喜びを与えてくれている海に、私たちは何を返すことができるだろう。

海洋汚染マイクロプラスチック詳細はこちら
海の声新聞

 
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